もうひとつの赤ずきんちゃんを創ったきっかけ


美しいフランスの絵本との出会い

私は数十年前、あるリトグラフ制作スタジオで作品指導をしてくださっていた方から、フランスのお土産という小さな手のひらサイズの美しい抽象画の絵本、シンデレラを見せていただきました。

Anoyter Little Red Story

Anoyter Little Red Story

シンデレラというポピュラーな物語、フランス語で書かれた人物紹介、人物がお城の紋章のようで背景は複雑な抽象形態。
どちらかと言えば絵本というより、ロマンティックですてきな画集のようでした。

今思うと、想像力は無限大に広がり、胸の高まる感動と同時に、いつの日か私も大空を羽ばたく自由な心で絵を描きたくなりました。小さな子供達にもわかる登場上人物が、絵本の中でかくれんぼ遊びをするような、夢と希望のある作品。いつか私もそんな絵本を描いてみたいという想いをめぐらせました。

Anoyter Little Red Story

Anoyter Little Red Story

あの絵本との出会いから、時はもうすでに長い月日を重ねました。

仕事に追われて疲れはてたある休みの日、ふと遠い記憶の中に、忘れかけていた鮮明な想いがルンルンと歌を口ずさみながらよみがえりました。
あのときの種が芽を出したのです。

いたずら書きを楽しむように三角と小さな丸の赤ずきんちゃんが、いつしか絵の中で一人歩きをはじめ、気がつと陽も暮れたころ、色と形が響きあい小さな作品になっていました。

この日から私のもうひとつの赤ずきんちゃんの絵本の扉が開きだしたのです。